変化の激しい時代において、鹿児島の建築会社としてどうありたいか、どんなチームを目指すのか、働く人一人ひとりの生き方も大切していくためには…。創業70年を経て、次の80周年へ向けて未来を創っていこうという今、内村建設が「VISION 80」に込めた想い、描く会社像について、代表取締役社長・内村明高と取締役社長室長兼管理本部総務部長・内村太郎が語り合いました。
(取材:2025年夏)
仕事もプライベートも
みんなが希望を持てる会社へ
内村明高:今、私たち内村建設は、未来に向かって生まれ変わる変革の只中にあると思います。弊社は2024年に創業70周年を迎えました。長年、誠実で確実な仕事を信条として、地域から厚い信頼をいただいてきました。その一方で、建築業界全体にも言えることですが、時代に合わせて大きく変化していかなければならない局面でもあると考えています。2021年の社長就任を機に、働き方改革推進プロジェクト「HOPE(ホープ)」を立ち上げ、変革を進めてきました。働き方改革の結果が出てきたところで2023年には、70周年の節目に、叶えていきたい未来について社員みんなで対話し、探究する「未来共創プロジェクト」を開始し、半年以上かけて「VISION80」を策定しました。そのミッションとビジョンを全員で共有しながら、事業・組織づくりに取り組んでいます。
内村太郎:今の内村建設は、経験を積み、スキルを磨いたベテラン社員が活躍しているのはもちろんのこと、若手社員も先輩から積極的に学びながら、レベルアップにチャレンジし、いきいきと仕事に取り組んでいます。2024年の働き方改革以降、業界全体も大きく変化していると思うのですが、私たちも行動指針や人事制度、労務管理体制等を整備し、社員一人ひとりが仕事にしっかりと取り組みながら、プライベートも楽しんで、充実した毎日を送れるよう環境づくりに力を注いでいます。
実をいうと弊社も、数年前までは、現在とは全く違う環境でした。長年、お客様の信頼に高品質な仕事で応えてきたことは、私たちの誇りであり、これからも大切に守っていくべき内村建設の軸です。しかし、かつてはその信念の裏側で、「成果を出すためには、個人の時間を削ってでも頑張るのが当たり前」という空気がどこかにありました。特にコロナ禍を経て、建設業界全体が厳しさを増す中、社員一人ひとりの負担も大きくなり、前向きな気持ちを持ちづらかった時期があったのも事実です。
内村明高:やはり一人ひとりが、仕事でもプライベートでも前向きな気持ちを持てる状態でなければ、会社はいい方向へ進まないのではないかと考えました。プロジェクトチームを「HOPE(希望)」と名付けたのも、そういった想いがあったからです。月に何度もミーティングを行い、社労士の先生のお力も借りて社員の声をヒアリングし、これからの働き方について考えました。現在は、単に働き方だけではなく、従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成や能力開発支援、組織内の活発なコミュニケーションなども目的として掲げ、変革を進めています。
私たちの働き方改革の根底にあるのは、まず、命や健康は何ものにも代えがたいものであり、本当に一番大切なものだということです。それを尊重した上で、チームで仕事を一生懸命頑張り、プライベートも充実させる。一人ひとりがワークライフバランスを保った健康的な生活を送り、ウェルビーイングを実現していけば、会社全体がよい方向へ向かうと考えています。
人の可能性をひらけば
建築の可能性もひろがっていく
[MISSION]
建築と人の可能性を拓く
内村明高:内村建設のこれからについては、「VISION80」で形にしたミッションとビジョンを軸に展開していくことになります。これから80周年を目指して前進していく中で、ミッションとして掲げたのは「建築と人の可能性を拓く」です。この言葉は、社員と共に立ち上げた「未来共創プロジェクト」を通じて生まれました。内村建設のこれまでを見つめ直し、これからのあり方を探る中で、対話を重ねるごとに少しずつ浮かび上がってきたのが、「人は素晴らしい、建築はおもしろい」というキーワードでした。その言葉を深く掘り下げていく中で私たちは、「人の可能性を拓かなければ、建築の可能性も拓けない」「そして建築の可能性が拓かれれば、そこに集う人の未来を後押しすることができる」という気づきにたどり着き、これだ!ということで、ミッションとして磨いていきました。
内村太郎:人の可能性を拓くには、安心してのびのびと働けて、やりがいや達成感を感じられ、チャレンジやスキルアップなど成長できる機会があることが大切だと思います。だからこそ、私たちは社内のコミュニケーションを育む仕掛けや、よい仲間・よいチームづくりのための取り組みを大切にしています。建設の仕事の中でも、プロジェクトごとにその意図や目的をしっかり共有したり、チーム全体で一人ひとりの成長に寄り添うサポート体制を整えたりと、社内の仕組みを少しずつ改善してきました。今では、仕事の話はもちろん、その人のパーソナリティーが伝わるような雑談も頻繁に交わされるようになり、会社全体の雰囲気も温かく前向きになってきているのを感じます。
内村明高:人のコミュニケーションがうまくいくと、建築も結果的にいいものができ、質も上がります。現場の雰囲気がよくなり、連絡もスムーズにいくと、チームプレーがうまくいくようになる。すると無駄がなくなり、労働時間も自然と短くなり、品質にもっと時間をかけられるようになる…。そんな好循環を生み出していきたいと考えています。
内村太郎:たとえば建設の現場でも、コミュニケーションが取れていると、ただ図面通りにすればよい、という考え方ではなく、こうしたらもっとよくなるという技術提案をしやすかったり、アイデアがわいてきたりするようになる。プロジェクトの意図を理解していると、自分の担当する仕事の意味が全体とつながり、やりがいを感じるようになる。それが最終的にいい建築として形になると、一人ひとりの自信になり、誇りにつながっていく。変革が進む今、社員それぞれが現場で生き生きと働く様子から、その意義を実感しています。
内村明高:「建築と人の可能性を拓く」というミッションを軸にみんなで進んで行く中で、社員の可能性を拓くのはもちろんですが、協力業者の方々、依頼してくださるお施主様やそのご家族や従業員の方々、地域の方々などすべての関係する人々が私たちの建築を通じて可能性を拓き、相互に好循環を生み出しながら、みんなで成長し、成功を分かち合える。そんな循環をつくっていきたいと本気で思っています。
誇れる建築のある街へ みんなで未来を創っていこう
【VISION80】
豊かな風土
(承認を土壌に多様な人々が集い、挑戦し、ものづくり・ことづくりの中で花開いていく)
誇れる建築
(全てのステークホルダーと有機的に関わり、顧客の想いや願いを建築という形で実現する)
まちのハート
(まちの良心として心地よい鼓動をひびかせ、地域にエネルギーを送る)
内村明高:「VISION80」では、ミッションと共に、次の80周年までに叶えたい未来像について語り合い、3つのビジョンとして形にしました。それは「豊かな風土」「誇れる建築」「まちのハート」です。
「豊かな風土」については、内村建設に関わる人々が、お互いの多様な個性や能力を認め合う土壌をつくり、前向きな気持ちで、ものづくり・ことづくりに挑戦する中で、それぞれが花開き、よい循環がまわっていくような会社の風土を醸成していきたい、ということです。今回、ミッション・ビジョンを考える未来共創プロジェクトで社内・社外の方々とたくさん話しましたが、本当にみんな頑張っているし、能力も才能もあったりするし、面白い経験を持っていたり、いろんな意見も持っている。これまでの経験も含めてですけど、あらためて「やっぱり人って、みんな素晴らしい」って思いましたね。
「誇れる建築」については、やはり自分たちにとっても、街にとっても誇りに思える建築をつくっていこうということです。建築会社の仕事は図面通りにつくればいいという考え方もありますけど、内村建設では、もう一歩踏み込んで、その建物はどんな目的を持っていて、どんな風に使われていくのか、街でどういう役割を果たすのか…図面の向こうにある顧客の想いや願いをしっかりと見つめながら、関わる人々といっしょに形にしていく。そうすると、建物は本当にいいものになっていくと思います。そんな誇れる建築は、携わった一人ひとりの自信にもつながっていくと思います。
内村太郎:3つめのビジョン「まちのハート」については、内村建設のまちづくりの営みを通してポジティブな影響を地域に広げ、率先して盛り上げていく、という覚悟を表現しました。もともと弊社のキャッチフレーズで「HEART IN HARD(ハートインハード)」という言葉があり、想いを込めて建物をつくることを大切にしてきましたが、あらためて、ハート(心)というのは、内村建設が大切にしていきたい重要なキーワードなのだと思います。
2023年に社屋1階にカフェ「haf coffee stop(ハフ コーヒー ストップ)」をつくったのも、多様な人々が集える場を地元・上町につくり、新しいことを生み出していきたいという想いがあります。2025年秋には上町にバスケットコートも造る予定で、このエリアがさらに元気になっていくことを期待しています。ここで、私たちの街づくりへの想いに共感してくださる方とのつながりが生まれ、そこからまた新しいものを生み出していく。そんな場にしていきたいですね。
内村明高:建築業って実際にリソース(資産)を提供しているという意味では街づくりをしている訳ですが、一方でエリアマネジメントに関しては、自らリスクを取っていないという側面もあります。だからこそ、自社で出資してカフェやバスケットコートをつくり、運営していくことは、こういうスペースに内村建設だったらこういう使い方をする、ということを実際のかたちにする試みでもあるのです。街をもっと良くするために、建築に投資することの価値を知っていただきたいという想いもあります。
内村太郎:社内プロジェクト「HOPE」で制度改革を進め、「未来共創プロジェクト」で対話と探究を通じてミッションとビジョンを創り、共有する中で、この数年で会社は大きく変化したと思います。以前は、誠実で真面目という長所がある一方で、みんなが無理をしてでも頑張って成果を上げてきた訳ですが、今は、和やかにコミュニケーションを取りながら、チーム力を高めてレバレッジを効かせることで、以前と同等、もしくはそれ以上の成果が上げられるようになってきました。まだまだいけるぞ、という感じです。
内村明高:今は人や組織全体に自由さが広がっているかもしれないですね。かといって、組織としてはちゃんと上下関係もあるし、互いへの尊重と仕事への責任感もある健やかな風土だと感じています。これからも内村建設らしい真面目さは大切にしながら、若い社員も前向きな気持ちで、やりがいと希望を持って仕事に取り組めるような環境づくりを推進していきたいと思っています。そして、私たちは建築業界の枠組みにとらわれず、広い世界から学び、成長しつづけていきたいと考えており、これから内村建設で働こうと考えている方も、自分を高めていきたい、成長していきたいという人が向いているんじゃないかなと思います。そういう環境は提供できると思います。
内村太郎:内村建設の技術者って、一人ひとりと話してみると、建築がめちゃくちゃ好きという人が多い。ものづくりや建築に熱い想いがある。うちで光っている人っていうのは、そういう建築への愛や探究心がある人が、やりがいを感じやすいかもしれないですね。また、建築に限らず、趣味を極めるなどプライベートが充実している人ほど、仕事の生産性が高く、生き生き仕事をしているように思います。最近は、社内にゴルフ同好会とか、登山部みたいなのもできて、そういった話題も社内で聞かれるようになっています。
内村明高:これからどんな会社にしていこう?どう働いていこう?とみんなで対話し、探求して形にしたミッションとビジョン。これらのテーマに取り組み続けた10年後、私たちの周りはどうなっているだろう?と話しました。そこで社員から生み出された言葉です。
・鹿児島のランドマークを内村建設が設計施工で生み出している
・技術と協力会社が集まる建築のスペシャリスト集団
・上町エリアが内村タウンとも言える再生をし、仲間が住み暮らす
・県内外から働きたいという声が集まる、給料も環境も南九州ナンバーワン
・80周年パーティーにこの10年をつくったOBの先輩が誇らしく出席している
この言葉を紡いでくれた一人ひとりを大切に思うと共に、こんな内村建設を、こんな世の中を自分たちの手で実現していくことができたらと思うと、とてもワクワクします。
これから出会う人材も含めて、みんなでこんな未来を創っていきたいと思っています。